have fun37 黄金の霧

           
FIAMMA製プライバシールーム350M


黄金の霧

古い友人が海外赴任を命ぜられ、奥さんを連れていくことになった
娘が二人いるが、どちらもアメリカに住んでいる
日本にあるほとんどのものを処分して任地へむからしい


『ただでやるから貰ってくれ』
小さなキャンピングカーを押しつけられた

『ただ』といっても名義変更したとたん納税通知書と車検の案内が届いた



この夏は、そのキャンピングカーでバカンスを楽しむことにした

途中、来客の予定もあった

高速を走り、小さなパーキングで車を止めた
本線を往く流れは夕方になっても快調だ
ややあって、高速バスが白い馬のロゴを見せつけながら走っていった
ウインカーを出し本線に乗ったとき
そのバスが左へ寄るのが見えた


彼女は涼しげな帽子をかぶり
バスストップに立っていた
思い切りクラクションを鳴らした

彼女は気が付いて、手を上げようとしたらしいが両手の荷物が邪魔をした

「もー お客さんにこんなに買い物言いつけて どういうつもりだか伺いたいものだわ」
シートベルトをした後の彼女の第一声だ

でも目は笑っている
好奇心の塊なのだ

「それで どんな御もてなしをしていただけるのかしら? せっかく乗った白馬から引きずり降ろしたんですもの 期待したいものだわ」

「王子様はここにいるじゃないか」

「白馬に見捨てられた?」

「うっせ  とりあえずどうぞ」
居住区を顎でしゃくった

彼女はシートベルトをはずし 恐る恐る入って
「へえ 臭くないんだ」


「おい いったいどんな想像力だ 空気の入れ替えもするし、掃除も、ファブリーズも ちゃんとやってるぜ  ったく 失礼千万だな」

「えへっ もうちょっと複雑な匂いがすると思ったのよ」
ソファーに体をあずけながら言った

車をサービスエリアに滑り込ませた
「では お客様 当館の温泉へどうぞ」

「えっ」

「ほら」

「あーーーっ」

指さした方に『日帰り温泉』の看板が見える

「これがチケット このトートバックも持っていくと便利だ」

「高速のサービスエリアに温泉だなんて 知らなかったわ」

「そうだろ 男湯にしか入った事がないが、たぶん女湯もそこそこ清潔なはずだ」

「ばーか」
そう言ったとき彼女の体は半分外に出ていた

『いっちょまえじゃん・・・』
彼女は大きな湯船につかりながら、一人つぶやいた

目の前を茶髪でしっかり日焼けした若い女性が横切った
『いいラインしてる』
彼女から見える腰のあたりに、小さな赤い薔薇のタトゥがあった

湯船の中で、同じあたりを軽くつまんでため息をついた


「あの馬鹿」
思わず声がでた

「挑戦かっ しかも小娘がきるような・・・」
彼女は『挑戦』を受け、浴衣を着た

それまで来ていた物はトートバッグにすっぽり収まった
帯に小さな赤い薔薇の刺繍がしてあった
意を決して表に出た

「女の長風呂って 本当だな  それに 」

「それに なにかしら」

「結構 恥ずかしいなこれ」

「ふん それに 似合ってないし」
浴衣姿の二人ずれに何人かが振り返った

車に戻りドアを閉めると、ほぼ同時にため息をついた
「これって サプライズじゃなくて 単なる嫌がらせだわ」

「けっ さあ めしだ」

メニューは、鳥のグリル、チーズ、トマト、バジルと塩だけのパスタ
それとシャンパン

「ふう~ん 」

ゆっくり時間をかけて食べた

近況を話しては、笑い、けなし
「洗いものは明日でいい じゃベッドルームいってな」

「きなさったな」

「ちゃうて いくらなんでもこんな駐車場じゃせまらねえよ」

「そうだけど・・・」

「それにお前さんのイビキや歯ぎしりが他の利用者の迷惑になる」

「ほぉーーーー いつも聞いているような 口ぶりね  どの口?どのお口が言ったのかしら? ん?  それに移動しようにも飲んでるしょ」

「まあな 捕まればアウトだな」
エンジンをかけ本線へのサブラインに向かった

10分も走ったろうか
トイレ付きのパーキングエリアに滑り込み出口側の突端に車を止めた

「これで夜中にトイレ連れてってにも対応できるぜ」

「ふん 久々にオネショでもしてみようかしら」

サンルーフを開けた
「いいだろ」

「うん 星が澄んで見えるね」

「飲む?」

「そね もう少しだけ」

「ほいよ」

ステンレスの水筒に氷を少し入れ いくつかのボトルを傾け、カラカラさせた
コップに注ぎ分けて、さっきのシャンパンの残りを入れた

「黄金色の霧、なんでかそう言うんだ これ」

「あんまりイメージできないね」

「まあな 運がよけりゃ本物を見れるかもな」

「ん?」

「寝ろ」

「はふぃ」

今日こうして二人で過ごすために、彼女には寝る時間はなかったはずだった
そういう工夫が必要な事は二人とも納得していた

その上で強いた
その上で受けた
のだった

彼女の寝息は間もなく聞こえた
エンジンをかけても起きない
後方に車がない事を確認して、静かに車を発進させた
80キロギリギリで少し走り退避スペースに車を止め、外に出て鍵を閉めた
 
「おーい おきてみそ」

「ふーんーんん 大きな伸びをしてから彼女は運転席に顔を出した」

「ほら」
顔をネジ曲げてやった

「この時期のこの時間、運が良ければこうなるのさ」
朝モヤに朝日が反射している

「きれいね」

「おまえさんの次にな」

「 うん 聞きあきてる」
そう言いながら背中をあづけにきた

「朝飯だ」

「冷凍」

「朝 いや夜取りの茹でたてだ」

「まさか・・・・ あっ あっまぁ~い」

「さあ 行こうか」

食べ終わった芯を彼女のてから奪って、フェンス越しの林の奥に投げ込んだ
「あっ い~けないんだ いけないんだ   どこいくの?」

「おれんち  少し走って高速を降りるぞ」
車を発進させた

ややあって高速を降り、一般道へ合流する丁字路を、引き返すような方向に車を向けた

「ここだ 温泉付き別荘 いや本宅だ  あっちが畑」

「誰か いるの?」
奥の網戸から玄関の網戸に向かって、気持ちの良い風が吹いている

「 つったってないであがれよ   誰もいないさ  夕べの内に戸を開けて 蚊取り線香もたいておいた」

縁側の網戸を開けて林へ入った

「夕べ?」
縁側から彼女が叫んだ

「まっ 早朝? 深夜? そんなところだ  ほぉ~ら」

「あっ」

「これを茹でにな ちょいと帰宅したってわけさ  ごみはちゃんと捨てましょうね」
緑茶を飲みながら、細かな種明しをしてやった

「さあ 朝風呂でもあびな 湯船は小さいが 24時間出っぱなしだから 気持ちいいぜ上がって来る頃にはカブの朝漬けと冷たい迎え酒を用意しておいてやる」

御湯のあふれる音が聞こえた

「気持ちいいだろ」

「う~ん いい感じ   ねえ ここで飲みたーい たーい たーいたーい」

「しょうがねえな はいはい おしめさま」

「発音が悪い! ほりゃっ」

「こらっ 濡れただろ ったく」

彼女は細い指で真っ白いカブをつまんで口に運んだ
「うん おいち これも随分と甘いわ」

「だろ あーあ こんなにかけやがって」

「脱げば」

「ああ・・・」

青い透明感のあるグラスを彼女の口に運んでやる
あふれ落ちた流れを目で辿った

「どこ見てんのよ」

「どこって この期に及んで それはないびよ」

「そね」

彼女はクラスを取り上げ湯船の淵に置いた

そしてゆっくり、背中の裏側を預けに来た
「まだ近くにこれないのか」

「ごめんなさい もう少し待っていて」

「ああ 待つ甲斐はありそうだな」

「古漬けになってたらごめんね」

彼女の口を指先で押さえながら
「鮮度は ちっとも落ちちゃいないさ 証拠だってある」




湯船から何度も御湯があふれる音がした
その音は風に揺れる木立がそっと消してくれた



           
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