hve fun 87 人が生きていくという事の断片

 

その日のお客が引けた後

兄さんがタバコをふかしながら


「どうしてくれたかわかるか」
「・・・」
「確かにお前の客あしらいはすし屋らしくていい
ちょっとした心遣いもできるようになってきたし
好感をもたれるだろうよ」

「でもそれは大野さんだけにではないな」
「はい」
「じゃあ なぜだ」
「・・・」

「入ってきた時お連れが「ああお腹ぺこぺこ」と言ったのを聞いたか
そん時おやっさんの動きがちょっとだけ変わったんだ
観ていたら、いつもよりシャリを少しだけ多くしたんだ」
「・・・・」
「大野さんはよくおいでになるお客だ
口にほおばれば わかるのさ
気がついても口に出しては言わない
お前に心ずけを渡す事で、心遣いに感謝したというわけさ」
「へえ  なんだかカッコいいっすね」
「おやっさんもおやっさんならお客もお客ってことさ」
「それに気がつく兄さんもすごい」
「w何もでないぞ」


「ちなみに彼女は、それほど好きじゃない」
「え?」
「生の魚がさ」
「じゃ どうして・・・」
「大野さんの亡くなった娘さんと年の頃が同じでな
同伴の時は、どこへ行っても「ああお腹ぺこぺこ」といって
食べれるだけ食べるんだ 」
「?」
「大野さんはな 亡くなった娘さんの姿を映してニコニコしている
蕎麦屋の たつも、うなぎやの まっちゃんも知っていることだ」
「そうだったんですか あのキャピキャピもわざと」
「いや あれは彼女のもちキャラだな お店のナンバーワンらしいぜ あれで」
「・・・・」






「すまん」
「はい?」
「君はこれからお店か」
「ええ」
「その店には同伴というはあるのか」
「ありますけど」
「今夜は同伴じゃないのか」
「ちがいます それに私なんか同伴してくれるお客さんなんて」
「予定がないなら同伴しよう」
「え」
「まっすぐ店でもいいし メシがまだならそこからでもいい」
「・・・」
「思い出せないんじゃない初めて会った 私の気まぐれだ」
「はあ」
「さあ 行こう 」

「名前は」
「さゆり」
「ひらがなか?」
「はい」
「じゃあ ふところのさみしぃお客がいたら 元気づけに飲ませてやりな」
「え」
「そうだな 1年くらいしたらまた来るかもしれないが ここにいるかな」
「たぶん」
「そか もしいたら ナンバーワンとかにしてやろう    とか言いながらこっちがしょぼくれているかもしれないがな  ごちそうさん」

「どうして」
「今日は風が強かった ころがってきた空き缶をゴミ箱にすてたな」
「?   ああ はい」
「母親に手を引かれて歩いていた女の子がそれを観ていた」
「そして私と目が合ってニッコリ笑った
なぜか その女の子に小さく手をあげて合図していたんだ」

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