have fun64  ジンビター ジン・アンド・イット

          
CD/栗コーダーポップスオーケストラ/よつばと♪ 組曲「冬将軍」/GNCA-1108



ジンビターforジン・アンド・イット


「おあずかりしていたボトルがちょうどなくなりました」
と、かのバーテンダー。

チェイサーのグラスを指で鳴らしながら

「うん いいタイミングだ」
男は言った。

「同じものをまた預けたい」

「かしこまりました。そろそろですか?」

「ああ、このまま出かけるつもりだ」

「たまには、ごいっしょされてはいかがですか」

「いや 嫌いではないが苦手だ」
男は口元を緩めず笑った。

「毎年おでかけになった後だとお知りになると、悲しげな表情をされるのがおいたわしくて・・・」

「昔だ、柄にもなく素直になりかけたことがある。このコートのボタンに手をかけそうになったことがな。その時あの方の声が聞こえたのさ。『自由を許す』と、だがその後『ただそのコートを脱いであの者を抱きしめた時、お前はお前でなくなり、あの者もその価値を失う事になろう』ともな」

ジンビターを喉に流し込んだ。

「それだけは避けねばならん  では行く。またな」

「お待ちしております」

男は鋭い目で笑いながら

「嘘をつけ」
コートの襟を立てドアに向かった





かのバーテンダーはドアを開け
踵を鳴らし敬礼した。

「うん」
その男は流し敬礼を返し、出て行った。
 
 
 
カウンターには空いたグラスと、すべてが氷になったチェイサーが残った。
 
 
翌日、春一番が吹き渡った。


人々は風にもてあそばれながらも頬をゆるませた。
その中でかのバーテンダーだけが切なげに空を仰いでいた。



           
花と豊穣と春の女神フローラをイメージさせるステキなポットですポット80PK H1-302-J149


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