have fun93

昼休み
何気に買った雑誌を、書類がとっちらかった席で見ていた

『居酒屋特集』という、いかにもそそられるタイトルだった

「そこ美味しいよ」
ぶっきらぼうに彼女が言った

「シュッ」とした見た目も性格も、ちょい「きつめ」と評判の彼女


聞くところに拠ると、かなりの酒豪
それを思い出す前に、つい口が滑った


「オイラ 一駅先に住んでるのさ こんな店があるって知らなかったなあ」

「いっぱしの酒飲みにならないと、ん~なんてえのかしら 鼻がきかないのよ」

「あっ トリュフ探すみたいに?」

「よぉ~く 考えた「たとえ」かしら?いまの」

「あん グルメでもあったのを 失念しておりましたぁ  鵜飼の鵜 、脂肪肝 、いやいやん~ ん~」

「もうよい 生きていたいならお黙り」

「へへへぇ」


「ねぇ」

「はっ 申し訳ありません 以後十分に気をつけますデスマス」

「もう ねえ 私ってそんな「きつい女」なの?」

「うん あっ 仕事中はね ん~仕事に対する姿勢はね  かな 気にしてるの?」

「べつにぃ  でもあなた そんなのとよく飲む気になったわね しかも自ら誘うという暴挙」

「Mだから・・・  うそだよ  超大分前だけどさ」

「ん?」

「感謝デーみたいのがあって うちらスタッフでちらばって・・・」

「んんん あったね もう3年前 公園のやつっしょ?」

「そだ 公園だ いくつかアトラクションもあって バールンの・・エア遊具ってんだっけ たぬきのがあって 調子にのった誰かが子供と一緒に入って捻挫下やつ」

「そいつって 今のうちらのボスだから」

「げっ」

「言う場所心得ときな」

「ありがと いやあ ありがと すっかり忘れていた 絶対言うわ そして空気を凍らせたわ あぶなーーい」

「んで?続き」

「なんの? あっ   そうそう  迷子の子にさ めっちゃしがみつかれて ちょっと赤くなってたじゃん」

「あ おぼえてる おかあさんと私ぜんぜんタイプ違うのにね 」

「その時からかな 」

「ん?」

「きつい女と いや基へ 「きつい女性」と「シュッとした女性」の区別をしたの」

「ふぅ~ん」

「あの子に抱きつかれた時の表情を、画像にしてパウチして配ったら、印象変わる人多いと思うけど、手伝おうか?」

「いい  まあ今の評価は「鎧」として多少役に立っていると思っているから」

「仕事上はね」

「いいんだもん それで」

「まあ 呑みな」

「うん  これおいしいよ  ほら」

酔ったのか、彼女の箸がご馳走してくれた
ちょっとだけ、あの時の表情が添えられていたように見えた





確かに彼女はアルコールに強い
でも取り皿を変えたり、空いたお皿をさげたり、おしぼりがいい位置に何故かあったり
テーブルの景色は、呑みがすすんでも、なんとなくいい感じにしてくれている
『くれている?』という意識すらさせない自然なタッチで・・・・・
会社の集まりだとなかなか気がつけないところかもしれない

そのあとは、そこはかとなく、くだらない話が続いて、こんな話も

「例えば飲んで別れる時、もう少し一緒にいたいと思う人なら改札の向こうに姿が消えるまで見送る」

「ストレートに言えばいいのに」

「相手に嫌われたらどうしようかじゃなくて、望みが叶わなかったことで傷つきたくないから言わない」

「へぇ~  自己中?」

「うん    そだね」

その頃には
彼女は日本酒から焼酎へ、私は日本酒をそこそこにウイスキーに変わっていた

「飲めんじゃん 結構 強いんだね」

「日本酒だと緊張感を失いそうなんだもん まだ生きていたいから しゃきっとするやつ飲んでないとね」

「なに 言ってんだか」

彼女は笑った
ん~ ほほえんでいた



そんなこんなで気がつくと終電が迫っていた
その居酒屋を出て、少しふらつきながら駅まで歩いた



「お疲れ様」

「なんの こちらこそ ご馳走様でした たらふく飲みました」

「確かに飲んでたが、結果がその程度なら、途中でさらわれることなく帰れるね」

「あ~ん わかんない さらわれるかも」

「そんな奴がいたら、反射的に肘鉄くらって 君の視界からいなくなるさ ご不幸なこった」
彼女もしぶしぶ笑った

「見かけって損ね ほんじゃ おやすみ」


背をむけて改札を抜けていった

『シュッとしてる・・・なあ・・・』
ややボッーーッとした頭で感じた

彼女がホームへ続く階段に消えてまもなく、電車が着いたのか人の群れが改札を呑み込んだ



その人並みが途切れるのを待って、自分が乗り込む駅へ歩き出そうとした
視界が変わる直前

『あん だぁ?』
こっちに向かって、駆けてくる
目が点状態の私に、目元で笑顔をシュートしてきた

「どした・・・の?」

「えへ、あなたが立っていた場所から、人を見送る景色ってどんなだか確認したくなったの」

「終電だったんだよ」
「うん」

「それって 自己中?」
「そうね」

「あのさ」
「まだ いると思ったんだろ?」
「うん?   うん」




「あの時の表情」
あらため
「今の表情」







本当に ひっさびさに書いてみた・・・・
まだ なんとなく しっくりこない な(笑)

でも とりあえず一つ書けた
ん~ なんかあったけかなあ
何もないような気がする


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