have fun90

           
そして僕は途方に暮れる-【電子書籍】

スプリッツァー


終電を待っていた
長いホームにはパラパラと同じように終電を待つ乗客がいる 
 
ホームにアナウンスが流れた
私は途方に暮れた
とりえず近くのベンチに腰を降ろした
 
電気系統のトラブルらしい
追いかけるように、復旧の見通しが立たないというアナウンスが、わずかな期待を打ち砕いた
 
『始発待ちか・・・』
 
一つ空けた隣に女性が座った
OLだろうか、遅い帰りだ
 
「アウトですね」
幾分投げやりに声をかけた

「ええ、明日がお休みでよかったわ、・・・あっ わたしはですけど・・・」
人なつっこい顔で答えた

その笑顔につられて
「本でもお貸ししましょうか」
「まあ なにかしら じゃあ とりかえっこしましょうか」
 
同じ本の表紙と裏表紙がそろった 
しばらく笑えた


彼女は笑うと、はっきりとしたエクボができる
「駅を出て、お茶でもしませんか?」
「ええ でもこの時間じゃ・・・」
「でもここにいるよりはマシでしょ 風も結構キツイし」
「そうね じゃあそうしましょうか」
改札は当然ながらスムーズにクリアーした

ついでに、近くに開いている店があるか尋ねてみた
駅員は近くに居酒屋があると言い、コーヒーくらいは飲めるだろうと教えてくれた
 
駅を出て左手にそれはすぐわかった
 
席に着くと、ラストオーダーになると言われた
せっかくなので私たちはスプリッツアーを頼んだ

運んできた店員に、これから時間を潰す場所がないか聞いた
その店員は首をすくめながら
「コンビニと・・・・・・・・・」
私の耳元で、もう一つ追加した
 
「どこですって?」
彼女はグラスを置きながら聞いてきた

「コンビニですって」
「もう一つのほうよ」
「いや そっちは究極だ」
どうやら察したようだ

『コンビニで雑誌を仕入れてホームに戻るしかなさそうだ』
思い切り冗談ぽく

「じゃあ そっちに移動しましょうか」
当然NGの反応を予見して
 
「そうね」
「えっ」
「取り消します?今のお誘い」
完敗だった

私はホームに戻るつもりだったと正直に告げた
「さっきの講演の補足でもしていただけるのかと・・・」
彼女のエクボが笑った
 
6時間ほど前、私はセミナーで20分ほど話したのだった
彼女はそのセミナーに出席していたのだと言った
私はセミナーの後、懇親会に出ていた
彼女は会社が近いので一度戻って仕事を片付けたあとに、夕食を食べに入ったお店が偶然同じだったと言った
そして乗り換え駅で足止めをくらった
 
「私も明日は休みです」
 
 
エレベーターが止まり、柔らかな廊下を誘導灯が点滅する部屋まで歩いた


 
彼女はノートを開き、私は異物混入防止について補足した
 
彼女は時折エクボを見せながら、積極的に質問を重ね、それに私も応えた
 
 
電気系統のトラブルは製造工程ラインに多大な影響を与える
ようだ



            
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