have fun101

   シルバーストリークとランチ


市ヶ谷駅を降りてカンファレンスセンター方向へ
どこかの路地にもぐりこんで食事だ

パスタに心が動いた
その奥の店を確かめに2、3m移動した

地下からあがってくる彼女に出くわした
ちょっと驚いたせいで思わず
「おいしいですか?ここ」
声をかけてしまった
「えっ ええ美味しいですよ これがとくに」
ランチメニューの写真をひとつ指差して教えてくれた

「ありがと」
彼女は微笑みながら軽く会釈をして背中を見せた

『彼女は食後、オイラはこれから・・・うまくいかないもんだ・・・』
素敵な女性だった


時間の少し前、会場へ
講演は予定ちょうどに始まり、5時に終了した

帰宅ラッシュの少し前に最後の乗換えがすんだ
分岐となる駅で立っていた乗客の多くが降りていった

TDL帰りを疑わせないカップルが席にありついた

ドア付近から車両の中ほどへ体を移した
なんとなく目を遊ばせていると、まるで私を見て微笑んでいるような女性がいた

イヤホンは見えないので何かを聞いて表情を緩めているようではなかった

『あっ』
『思い出しましたか?』
という表情に変わった

電車が駅に止まったのをチャンスに彼女の近くに移動した
お互い笑顔で再確認した

「どちらまで帰られるんですか」
彼女が先に口を開いた
「終点まで あなたは?」
「その二つ手前まで」



「時間があるようなら・・・お礼に珈琲でも・・・・」
かなり思い切った事をしてしまったと少し後悔したが
微笑が戻ってきた


「どうでした?」
「美味しかったです 熱々で皮のところがいい感じのパリパリで・・・熱々で食べきりたいのとゆっくり味わいたいのオシクラマンジュウでした」
「よかった」
「あっ それとフロアーのスタッフがとても良い感じでした 食べ物屋の人はこうあってほしいって感じの どう思います?」
「合格!」
「はっ?」
彼女はニコニコしながら続けた
「私って声かけやすいのかしら」
開きかけた私の口を目で制して真顔で
「いきなり ここ美味しい?なんて聞かれるとは思ってませんでした でもあんなちょっとした会話っていいなって 同じ人間という生き物としてね」

彼女は珈琲カップで一度ブレスした

「会社に戻るまで わたしったらかなりニヤニヤして歩いていたと思うわ」

むりやりささりこんだ
「んで?合格って?」
「美味しさについて どれだけ共有できたかって事」
優しい表情に戻っていた

「それとね フロアーの女の子にも目が留まったんだなって お店とは関係ないけど嬉しいわ いい感じよね あの子」
「うん あのさ 席に座って 今出て行った女性にこれが美味しいといわれたから ん~ えっと ひな鳥のぉ・・・」
「天然塩焼き」
「そうそう どう食べたいか  それならこのソースがいいですとか こっちの醤油も試してくださいとか なんだろな 最後の味付けをきちんとやっていると思った」
「最後の味付けね うんうん」
「きっと 今度いったら  今日は何食べたらいいかな って聞くかもしれないな」
「あら わたしじゃダメなのね」
「いや あ 失言 あの・・・」
「うそよ わたし ちょっとしっかり食べたいときにあの店に行くの 全体の雰囲気を食べたくて」


「わかるような気がする 勿論、美味しいんだけど プラスアルファーがあったよね」



「あらこんな時間 わたししゃべりすぎちゃった」
「すみません ここから遠いんですか」
「ここからは歩きよ あなたは もう一度電車に乗らなきゃならないんでしょ」
「じゃあ ん~と えっと 今日はここまでということで解散しましょう」

「そね またどこかで偶然を期待して」
「あ はい じゃ」
彼女の笑い声をはじめて聞いた
「表情に出やすいタイプね あの時も びっくり眼だったわ」
そして名刺の交換をさせてくれた

珈琲ショップをでたところで言ってみた

「今度は 同じ時間に食事しませんか」

「期待しないで・・・・ ものすごく期待して待ってます」
「ハードル高くしちゃった・・・」

彼女は小さく手を振って階段を下りていった












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